活動報告

広域行政セミナー(第3回)を開催しました

2013年03月13日 セミナー

 平成25年2月27日、本会総会終了後、福岡市のホテルレガロ福岡で第3回「広域行政セミナー」を開催しました。
 年度末も近づく慌ただしい中でしたが、今回も200名を超す皆様に御参加いただきました。
 開会にあたり、吉村敏男副会長が、「自立の会は、九州地方知事会が構想した『九州広域行政機構』による、国の出先機関をどうやって受け入れるかということを側面から支援する活動に重点を置いて取り組んできた。しかし、国が道州制を実現するという方向を示されており、修正を余儀なくされている。政権は確かに変わったが、我々が目指す各ブロックが自立をして、その活力が国の発展を支えるという方向性は変わっていない」と挨拶しました。

 藏内勇夫会長は、「九州地方知事会長である大分県の広瀬知事、福岡県の小川知事と話をした際、『真の分権化社会を求めていくなら、ヒト・モノ・権限等を地方に移管する国の出先機関改革は誠に中身のある議論であった。自民党・公明党が掲げる道州制の法案の中身がどうなるか、極めて高い関心を持っており、これまでの議論を踏まえながら論議に関わっていきたい』という意見であった。自立の会としてもその方向でいかなければならない。
 安倍政権は、金融緩和・財政出動・成長戦略により経済を再生すると言われている。これを地域の活性化に結びつけるためには、地方がそのことに対する自覚と責任をしっかり持たなければならない。そのための新しい統治システムによる分権化社会を一日も早く築くべきである」と挨拶しました。

 来賓からは、松本國寛福岡県議会議長が、「昨年末に政権交代し、内外の重要課題に対し、新政権がどのように取り組んでいくのか、大変注目される。とりわけ地方分権については、早速自民党が『道州制基本法案』を来年度予算成立後に提出するとの報道がなされている。このような国の動きに対し、九州がいかに臨んでいくのかが大きな課題である。
 こうした状況の中、霞が関や永田町の情勢にも詳しい毎日新聞の人羅格(ひとらただし)論説委員をお招きされ、『道州制の展望と課題』について御講演いただくことは、大変時宜を得たことである」と挨拶されました。

 次に、小川洋福岡県知事が、「新政権は、道州制を推進するために『道州制基本法案』を提出する方針である。道州制については、具体的な意義と将来像というものを示して国民的な議論を行っていく必要がある。また、道州制の議論により、これまで我々が進めてきた地方分権改革が停滞することがあってはならない。福岡県では、県議会の皆様と一緒になって、分権型社会の確立に向け政府に対し要望してきている。九州の自立を考える会の皆様にも、引き続き御支援をお願いする。来年度予算が閣議決定されたが、九州各県が一体感をもって連携し、九州の発展の基盤をしっかり築かなければならない」と挨拶されました。

 講演では、毎日新聞東京本社の人羅格論説委員が、「道州制は、中身が大事である。国任せではない、地方が声を出して道州制をどうしていくかを今から言っておく必要がある。これまでは、中央が『やれ』と言って地方が『はい』と言ってやり、その方が上手くいった。これからは(2060年には)8700万人に人口が減少し、クオリティで勝負するとなると、発想を変え、地方できちんと考えてやっていかないと日本は国際的に生き残れなくなるのではないか。中央主導型道州制でない分権型道州制を進めていくべきである。自民党の道州制基本法案では、解釈次第で国が行う範囲が広がっていく可能性があることが心配である。
 現在、最も問題なのは、国の出先機関改革が止まっていることである。出先機関の移譲すらできずにまともな道州制ができるのか。地方は、あくまで出先機関改革を言い続け、並行して道州制の議論があるということが大事である。また、地方側もどういう道州制を求めているのか、覚悟が問われる。州都をどうするかというリアルな問題にも顔を背けてはならず、(都市間で)どう機能分担していくかは、少し離れた枠組みで地方が自ら考えることが大事である。
 九州は(分権論議が)非常に熱心である。九州が今後どのようにものを言っていくかは、とても大きいと思う」と述べられました。

 質疑では、浜﨑達也福岡県議会議員が、「福岡県では2つの政令市と他の市町村で人口のほか様々な差がある。また、九州で考えても福岡県以外は人口減少であり、とりわけ福岡市がずっと人口増加している。このような中での基礎自治体をどう考えるか」と質問しました。
 これに対して人羅論説委員は、「都道府県が道州に拡大されるといよいよ住民から遠くなる。だから、市町村については住民が参加しやすい直接民主制的なものを含めた、団体自治に対する住民自治という要素を徹底しなければならない。また、福岡が先走らない形で州都について議論することを申し上げた。『福岡一人勝ち』のイメージが出ることは、九州にとって非常にマイナスであり、そういう印象を払拭するため、州都機能の分散について考えるといいのではないか」と回答されました。

 閉会にあたり、井本宗司理事が、「人羅先生のお話は、大変参考になった。
 地方自治体を経営していると、いろんな制約があり前に進まないことが多い。最近の給与削減の問題では、単年度の給与なのか、生涯賃金なのか、或いは我々に賃金制度を任せてくれるのか、いろんな議論をしなければならないのに地方交付税を減らすということが先走っている。これは財務省主導だと個人的に思っている。各団体は、同じ方向性、同じ行動を取らなければ、財務省にやられてしまう。
 今日は、市長、町長、副市長とたくさん来ていただいた。九州・地方のあり方、地域を経営する立場で我々も頑張っていくので、福岡県議会や今日御参会の皆様方が、この地域をどう経営していくか、ヒト・モノ・カネ・情報、そういったものを考えながら話を進めていただければ大変ありがたいし、次に繋がる」と挨拶しました。

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