活動報告

新年のごあいさつ(平成28年1月)

2016年01月01日 お知らせ

 新年明けましておめでとうございます。
 
 昨年のわが国の経済は、政府と各企業の懸命な努力によって全国的には有効求人倍率が23年ぶりの高さになりましたが、地域差も大きく、未だ確かな足取りとはいえません。また、給与水準やGDPは伸び悩んでおり、多くの国民は景気回復を実感できない状況が続いています。

 しかし、九州では、明るいニュースが続きました。
 2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップの全国12カ所の開催地に、九州から福岡、熊本及び大分が選ばれ、ロンドンで開催されたラグビーワールドカップ2015では九州出身の選手達が大活躍しました。プロスポーツではソフトバンクホークスが2年連続で日本一となり、アビスパ福岡がJ1リーグに昇格。サガン鳥栖もJ1残留を決めました。
 また、九州各県が共同で取り組んできた「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録が決定され、クルーズ船の寄港と外国人観光客も過去最高を更新し続けています。
 これらのニュースはいずれも、当会が一昨年10月に公表した「九州の成長戦略に係る政策提言」の5つの柱のうちの2つ、「観光振興」と「スポーツ振興・スポーツ産業の育成等」において提案した諸施策の実現にとって追い風となる、非常にうれしい出来事でした。
 さらに、2020年東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の整備計画で、日本を代表する建築家、隈研吾氏が中心となって作成した案が採用されたことも大変喜ばしいニュースでした。
     
 実は、同氏は、九州芸文館(筑後市)や長崎県美術館(長崎市)、スターバックス太宰府表参道店(太宰府市)を設計されるなど、九州にもゆかりの深い方です。また、魔術のように美しく巧みに木材を用いる「和」の設計で知られています。今回の採用決定により九州が有する同氏設計建築物の文化的価値がますます高まるとともに、木材の持つ魅力が見直され、政策提言でも九州の有望な成長産業の候補とした林業の活性化に寄与することを期待しています。

 こうした中、当会も、九州の成長・発展に向けた取組を着実に進めてまいりました。通常の広域行政セミナーに加え、会員有志が2班に分かれ、イギリスではラグビーワールドカップ2015の運営状況を、また、カナダ・アメリカでは、LNG火力発電の推進に関しバンクーバーでLNG開発に取り組まれている日本企業や、先端中小企業の育成に関しシアトルでボーイング社などに部品供給している日本企業等を視察調査しました。
 いずれも、当会が、今後、政策提言を更に具体化し、その実現に取り組んでいく上で参考となる大変貴重な知見を得ることができました。

 一方、行政や経済界の取組も着実に進みました。九州の農林水産物や工業製品等のプロモーションに幅広く活用できる「九州の統一的ロゴマークの策定」については、九州地方知事会、九州地域戦略会議において鋭意協議されており、「県有施設における水素ステーション実証施設の整備等」については、県庁に移動式水素ステーションが整備され、福岡県内10箇所の水素ステーション整備も決定されました。「福岡空港と北九州空港の高速道路による直結」については、福岡都市高速道路の福岡空港までの延伸案が具体化しつつあります。

 今年は、九州の自立を考える会の設立5周年という節目の年であるとともに、国が政策の最重要課題とする地方創生についても、九州各県が策定した総合戦略が実現に向け動き出します。
 その過程で、現在の各県の総合戦略の問題点や新たな課題、九州各県の戦略間における調整の必要性等が明らかになってくるのではないかと思います。当会は、これらを分析し、克服のための処方箋を提案するとともに、その実践を広く関係者(機関)に求めてまいりたいと考えています。また、そのためにも、九州各県の議会はじめ政財界の有志の方々との連携を一層進めなければなりません。

 また、11月には、世界獣医師会(WVA)と 世界医師会(WMA)による「One Health」に関する国際会議が北九州市で開催されます。
 世界各地でエボラ出血熱、鳥インフルエンザ、デング熱等、人と動物の共通感染症による脅威が増しており、人と動物の健康は今や線引きできない、一体化しているという「One Health」の理念の下に、世界の獣医師と医師が連携・協力して対策を進めるための会議です。昨年、スペインで初めて開催され、今回が2回目となります。
 私が公益社団法人日本獣医師会の会長として取り組んできた問題であるとともに、政策提言でも、九州各県とアジア各国が人獣共通感染症対策において広域的に連携する体制を整備するべきと主張していたところであり、今回の会議が具体化の契機となることを願っています。

 このように、今年も当会にとりまして何かと課題の多い年になりますが、九州が元気になり、九州が日本を支えていくのだ、という強い思いを持って活動を続けてまいる所存であり、是非とも、皆様の更なるご理解とご支援を賜りたく存じます。
 
 最後になりましたが、本年が皆様にとりまして、幸多く、素晴らしい年となりますことを衷心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 平成28年1月
 九州の自立を考える会 会長 藏内 勇夫

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